地球化学的手法による温泉水の上昇速度と流動領域の推定
○大場武,水橋正英,平林順一,野上健治,日下部実
草津白根山の強酸性温泉水に含まれる硫酸イオン酸素原子と水の酸素原子の間の同位 体交換反応を利用して温泉水の冷却速度を見積もった.温泉水の温度が草津白根山の地温勾配に支配されているなら,0.1-1.2m/dayの上昇速度が推定される.万代鉱と呼ばれる流量の大きな温泉水については,この上昇速度と流量から温泉水通路の断面積は直径120mの円に匹敵する.このような大きな断面積を保持するには温泉水は地下で相当広い領域を流動していなければならないと結論される.